コトバ 風物 ジッタイ

ゲンショウの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

音楽

名画『永遠と一日』について。または 僕が雨を待つ理由と、雨音のない月夜の話2

1 雨を待っている僕は、今もこうして窓の外から差し込む月光に照らされている。深夜二時三十分。木々の間から見える月は、やがてもう数時間もすれば、あの山の向こうに落ちるだろう。そうやって世界が少しずつ動いて、こっちが朝日に包まれる頃、この星のど…

川を渡るときに思う事 お上りさんケンブン禄⑨

1 時間はもう間もなく十八時になろうかといった頃。僕たちはあの奇妙な形をしたアサヒのビアホールを目指して隅田川にかかる吾妻橋を歩いていた。薄く透明な風に吹かれて―― 橋に吹く風は水に洗われて街のそれよりずっと透き通っている――視線を遠く下流へ向け…

夏だから、原付バイクで北へ走った

1 街道を北へずっと上っている間中、向こう見える明石飛騨木曾と山々は、ようよう繁り鮮やかさのうちに心地よく・・・・言って50㏄ の原付バイクである。大型トラックは日本経済、流通の要は我也と、さも天下人。我が物顔で走り去り、その風にあおられ、…

夏に聴く小島麻由美の歌。 スピッツカバー 『夏の魔物』 消え行く声の永遠に続く儚さ について

お題「夏うた」 1 2002年だから、もう14年も前の事になる。当時僕は浅草橋のお風呂もないボロアパートに住んでいて、バーで働いていた。安月給というほどでは無い・・おそらく同年代がもらっている給料よりは、ほんの少しいい額をもらっていたはずだ…

改札ですれ違う人々・・お上りさんケンブン禄⑤

*1 1 二人でミャンマービルの小瓶を三本・・・分け合って飲んだ。夜勤明けの頭に程よいアルコールが廻って、いい気分で会計を済ませる。 表へ出ると、懐かしい都会の暑さが。もっとも都内で暮らしている人には、五月の末、こんなもの暑いなんて思わないのだ…

再会、ミャンマー お上りさんケンブン禄③

1 十一時四十五分、改札前。人の出入りを漠然と眺めながらpaを待った。まめに連絡は取りあっているのだけれど、実際に会うのは三年ぶり。三年前と今と、僕自身はあまり変わったつもりが無いけれど、向こうはどうだろう?・・・そうだ、しまったな。せっか…

お上りさんケンブン禄① 出立編

1 午前八時三十分、いつもの時間。 「んじゃ、お先にー」 と、引き継ぎに来た同僚に声をかける。心がけていつものタイミング、いつものテンションで。しかし心はいつもと少し違う。僅かに上ずっているのが分かる。タイムカードを切って、手早く着替え表へ出…

老化へのジレンマと、美しさへの憧れ

1 若い頃よく聴いた音楽に「セックスピストルズ」なんてバンドがあった。 ロンドンパンクのオリジネーターとして、音楽史に消えることのない名前を刻んだこのバンドは、舞台上で恥もてらいも無くド下手な(おそらく既存の音楽的価値観からすれば・・)醜い…

風邪っぴきオネエのアンビエント講座さわり

序 どうも、どうもと。 エー風邪を引いてしまいまして。熱鼻喉、そいで筋肉痛とお決まりフルコース。まー酷い目にあった。いえ、もう随分回復したのですが、喉だけが依然・・・一週間もこんなつぶれた喉でがらがら喋っておりますと、あたしゃ二丁目の飲み屋…

タイタニック号の遭難。宮沢賢治と今も海底で奏でつづく賛美歌の事をべろべろ

今日は雨がずっと・・・ 1 まあ、タイタニック号の遭難についていまさらあたしがシッタカしたところで、有名な事件ですからすぐに底が知れるてのは、蠍座の・・・火を見るよりも明らかなのであって。 故にここではウィキペディアを紹介するとどめますが。 …

花落つ夜に、宮沢賢治、細野春臣、その他諸々をべらべら

1 楼幻郷の花を散らす一陣の風がうわっと吹いた二十二時三十五分。夜風はまだ冷たくて、春コートの襟を立てようと頭をもたげる。と、ほら、思いがけず天然のプラレタリュウムなのであります。向こう何万何億とかなたから瞬く信号に、大好きな宮沢賢治の詩を…

オマエラ気軽に中二病とか言うけど、オーケン見てから言えよ的なユーチューブ選

毎夜ごと酒のあてを探してインターネット界隈をぶらついて居るんですが、先日もビール片手にユーチューブをふらついておったら、ふと目にとまったのがコレ。 サンフランシスコ イントロのエディこと三柴理さんのキーボードで心臓を丸ごと鷲掴みにされた後、…

私を構成する9枚について・・内容がないよう

トピック「私を構成する9枚」について 「私を構成する九枚」ってな、いやコウセイって。随分タイギョウな言い回しじゃぁないか・・と思いながら、しかし「巷の流行廃りには敏感になっていこうぜ!」という今年のテーマにのっとり、ブログ記事を書くことにし…

ユーチューブで見るシューゲイザー入門ってか、応用ってか、ただの好きなバンド撰に成り果てた惰性と堕落

1 今は昔、1980年代後半から1990年代前半にかけて、英国にてひっそりと咲いた婀娜花があった。彼らは皆地味目でいかにも暗く、下を向いてもくもくと演奏していたので、最初に誰が名づけたか、やがて人々は皆彼らの事を「シューゲイザー」とよんだ。…