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酒の井戸

アルコールの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

ストレスフルな現代人の見本

 

 しっかし今日日、ただ窓が広いっちゅ-のもちょいと考え物だね。

 

 と言うのは今の住居が一階だからであり、部屋に越してきた当初は、

 

「こりゃーぁ良いじゃないか。お天道さんの日をいっぱいに浴びれらあ」

 

 ・・等と能天気なことを考えていたのだが、カーテンを開け放してみて、直ぐにやめた。なんともなれば往来からは丸見えであり、三分とたてばまるで動物園か実験室の展示物になったかの錯覚を起こし。・・いや、実際昼真っから酒は飲めないし。もし仮にそんな事をしようものなら、向こう三軒両隣から気ぐるい、廃人のレッテルを張られることは火を見るよりも明らかなのであって。

 故に連日日夜問わずレースのカーテンをぴしゃりと閉め切っているのであるが、これがまた健康状態に悪影響を与えること明々白々であり、故にまたストレスもたまる。と最早生活環境は袋小路である。

 

 それで先日昼食の折、同僚のk君と差し向かいに飯を食いながら、この惨状を懇々と語ったのだが。しかしこのk君という男。いや実際体型は西郷南州か。いかにも肝っ玉のすわったブットイ男のようでありながら、小さく叩こうが大きく叩こうがまったく響かない。着流しでそこいらをうろつかない。犬の散歩は拒絶する。といった到底南州には及ばない木っ端モンであるからして、僕の話などろくに聞かずに目の前のうどんを夢中になって啜りこみ、挙句

 

 「じゃあ、いっそ開き直って畜生道に身をやつし、〈真昼間から酒を飲むサル〉などと看板をぶら下げ、一円五十銭なり何なり見物料でも徴収すれば良いじゃぁないか。」

 

 などと戯けた事を言いやがるので、

 

「っへ、だからてめえは三下奴だってんだ。顔じゃねえぜ。てめえの世話にはならねえ。出直してきやがれ」

 

 と、こっちも唾を吐いて決別したのだが、ああ悲しいかな僕とk君は同じ部署、同じ班であり、つまり二人は十五分と経たぬうちに再開する運命にあって、故に気まずいのは一方的にこっち。故にまたストレスが溜まり僕の生活は、どんどんと袋小路に追い詰められ、そんな状態であるから当然仕事が上手くいくはずもなく、諸々が滞る。あっあ、焦って凡ミスの連発。となると、当然k君に

 

「あ、悪いけどさ、k君?あのっさ、ちょっとこの仕事であのさっ・・」

 

 等と一々カバー、フォローを願い出る始末で、故にさらなるストレスが溜まる。故に神経衰弱で箸も持てない。故に入院。故に路頭に迷い、故に血反吐を吐いて憤死。

 

 と、もう未来は決まったようなものなのである。この窓が広すぎるせいで。