コトバ 風物 ジッタイ

ゲンショウの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

何かを書こうとして、それでも書けないときに

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  先達ては三連休であったと、皆々様ご同道でお出かけ遊ばれたのでしょうか。あたしは一人で部屋に篭ってボサーッとしておりました。三日間があたかも長い長いイチジツのように過ぎて、ぼーんぼーんと。ついさっき逢魔時は十八時の頃、近所の冥庵寺の鐘の音を聞いて、ふと我に返った次第。

 

 それでも先まで鈍いアンダースローな働きのうちに意識を運行しておりましたゆえ、いきなり快活にこれが働き出す道理も無く、行燈にともる火よりぼんやりと蒼ざめて

 

 「明日から仕事か」

 

なんて、漠然と、おおよそ現実味の欠けた調子で思ったのであります。

 

 春の日の夕暮れは穏やかです。

 

 土鍋に水を張って熱燗でもつけようかと、立ちましてキッチンへ行くとお玉が一つ床に転がっていた。・・・なんなんですかね。そういった事が良くあるのです。落としたつもりの無いものが、床に転がっているてのが。またかと思い、ため息をついてそれを拾って洗う。水切りへ置き、土鍋に水をと蛇口をひねり溜める。火にかけ、水が次第に熱せられるのを眺めながら、そういえば連休前に考えていたことを思い出しておりました。

 

 足を伸ばして隣県の神社へ詣で、ついでにその界隈の行楽地へ遊ぶ。

 

 なんて計画を心内にめぐらして、一人ニヘラとほくそ笑んでスマホであれこれと、当地の地酒産物居酒屋なんぞをググっては、おほほほほオモロキかなオモロキかな、なんて心躍らせていたにもかかわらず、実際は宿の一つも予約しなかったのは、多分心の深い場所で意識せぬうちにこうなることを望み、また、こうなろうと行動してたからだと思います。

 

 行動しない方向へ行動した。

 

 みたいなね。

 

 蛇口の締めが甘く、ぽたぽたと水滴がシンクに浮かぶ。

 

 

 それからどうした。

 

 火にかけた土鍋の水がふつふつと湧き、徳利を湯に沈め、温度計を刺します。それを眺めながら、記憶をスクロールしてこの三日間を・・・・辿った。

 

 何をして、何を思ったのか・・・・

 思ったことは一つだけだった。

 

「書きたいことがあっても、言葉が見つからないと書きたいことはかけない。」

 

 4

 心が一枚、はぐれました。

 そいで、あたしはそれに囚われ、ひたすらに脱落していたのであります。

 

 きっかけは、五千字ほど書いたブログ記事を消したところから始まったので。

 

『インディスワールド』という英国映画の感想文を書こうと思って、先週ほとんど一週間かけて件の映画を傍らに何度も繰り返し再生しながらキーボードをせっせと叩き、文字をモニター上に浮かべ時にはグーグルで検索し、帳面に写し、本を捲り捲りとやりながら・・しっかし書きたいはずの、目的とする内容/場所には一向に近づかず、むしろ言葉を重ねれば重ねるほど、其処から一層遠くなるような・・・次第に目的地が霞みぼやけ、どんどんと。微かに燈る灯台の火を頼りに

岸へ寄せようとする船乗りが、しかしその努力空しく沖へ沖へと連れられ、さ迷うかのよう。

 

 雪だるま式に言葉だけが膨らんで、いっつの間にやら、あら大変と。結果、五千と有余のイラナイ言葉の贅肉をまんまんると蓄えた、空しい塊が目の前に一つ。

 

 言葉ってのは、そこらじゅうに遍在していて、まあ数多と。いかにも気楽に組み合わせれば、それを形作れそうな気もするが・・・しっかし、ピンポイントで題材に対し必要な言葉をすくい上げ、巧妙に組み立てるなんて芸当は、

あたしにはもう到底・・・やんだオラ。

 

 

 そういえばあたしが高校生の頃・・・てぇなりますから数え上げるとゾッとする程の大昔に、あたしは絵を描いていたのでありました。その学校は美術部なんぞ無く、あたしは一人で・・いえそんなもの無かったから良かったのかもしれません、画材道具、本棚、小説、CD、ラジカセ、ヘッドホン、なんぞを持ち込み、一角をパテーションでこれと区切り、まるで自室のようにこれを使っていたのですから、今にして思うと若気の至りと言うか、こそばゆい恥かしさを覚えながら、総体としては良い思い出として心内に留まっているのでありますが。

 

 その当時のあたくしに絵の指南をしてくだすった美術の先生・・つまり感受性過多な子供の表現欲求・・あがきに付き合ってくださった・・・あたしはその先生の事を、失礼さもわきまえず「師匠」と呼び慕っていたのですが・・・その方が

 

「絵でも何でも、何かを造るときに一度で上手くいく時はまれで、一旦全てを捨てて一からやり直さなければならないといった時が来る。その時に過去に蓄積したものにしがみついて・・せっかく此処までここまで描いたんだからとか、ツマラン執着に囚われるものだけれど、止める時は止める。スパッと捨てて、新しく描き直した方が、大抵いい絵が出来るよ」

 

と、言っていたのを思い出して。

 

 今のあたしはあの当時の先生/師匠より遥かに年をとり、それでもあの時のあの言葉を金言として、ついぞ二日前、まさにあたしはあたしの三日間を捨て、脱落し、重ねた言葉をデリートしたのであります。

 

 

 が、やっぱつらいねーこれ。

 

 初期の、あのファミコンドラクエとかやってらっしゃった方には分かると思うんですけど、あのセーブデータ消えたときの絶望感とか、復活の呪文と称されたパスワードの書き間違いからなるあの絶望感ね・・あれよあれ。あれに類似した・・・これに費やした月日はなんだったんだろうか・・・みたいな。畢竟、その間のプチ走馬灯が巡るとでも言おうか。

 

 んでも、言ってみりゃ今回は、自分で勝手に消しちゃったんだからね。自分で消しちゃったんだか、ら、どーしようもねーですけど。

 

ああ、やれんな。ほんまに、ほんきに、まじもんで、今あたしは空しい。

 

 

 

追記、

 

皆々様つね日頃、当ブログに自ら進んでお目汚しのほど、まあてんから 奇特な限りと存じ上げやすが ・・おうっ!! ありがとうございやす。 

でんがなまんがな。

さーぁて、さて、

 

 色々と職場が変わる、て色の春の・・・温み行く春ゆえの宿命だろっ か、ってあちこちで移動だ卒業だと聞きますが、あたしんとこでもまんま 変動がございまして、あたしもそれと風を受けちまいって・・・ままそんな寸法で。

 

それに伴い引越しの準備をせなあかん。いずこか向かう先へ、また去るコッチへと一つあいさつ回りだってあれこれと、顔を見せたり眺めたりと、おっさんの禿げ頭は最早食傷気味で、まあめんどくせぇ ってツマランよろず事を。


呼ばれて飛び出てササだ酒だと飲んだじゃ ねぇ が、付きまとう浮世のお付き合いぜ。てーね。

それに、また付随して、引越して荷物を整理しまとめ送る、受け取るなんてのもございやす ゆえ、あれこれバタバタしておりまして暫くブログの更新は、未定となりやす ゆえ、どうぞ。どうぞごきげんようってんだぜ。

 

アディオス。

 

あばばばばいならね

 

要約すると、引越しがあるからしばらくブログは更新できないって事です。

 

ではでは