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楼幻郷の花を散らす一陣の風がうわっと吹いた二十二時三十五分。夜風はまだ冷たくて、春コートの襟を立てようと頭をもたげる。と、ほら、思いがけず天然のプラレタリュウムなのであります。向こう何万何億とかなたから瞬く信号に、大好きな宮沢賢治の詩を噛み締める。
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電灯の
一つの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電灯の
一つの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)
これらは二十二ヶ月の
過去とかんずる方向から
紙と鉱質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し
みんなが同時に感じるもの)
ここまでたもちつづけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
宮沢賢治 『春と修羅』より
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さてと、上に上げました動画は、宮沢賢治の傑作と名高い『銀河鉄道の夜』の、1985年に製作されたアニーメーション作品のエンドロールを切り取ったものでありまして。このスンバラ式に構成されました音楽は、我らが御大将細野春臣さんの作品で、というか件、アニメーション映画『銀河鉄道の夜』の音楽を細野御大がまるっと担当されておりますゆえ、頭からお尻まで全編細野さんの音楽を堪能できる「ワテ、ホンマに、しゃれこうべ真っ白やわー」と、今日日エセ関西人、エセ京都民を気取った関東人も吐かっしゃらないチンプンカンプンな言語がたまさか飛びい出ちまう程に・・・まあ、なんつうか、感動を言語化しようとすると、思いがけない方向、アサッテのほうからうわっと言葉が湧き出るよねーみたいなみたいな。
・・と、よく分からん混乱とパニックを巻き起こすほどに、音楽一つとっても素晴らしい贅沢な作品なのですが、こん映画は、そげなこっちゃー済まされんとばいと、テンション上がって増すゆえ、古今東西チャンポン語で、おほほい失礼ばってんスンズレイてなもん屋の商いで、まあブレブレの文体で参りますけど。
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そいで、えーと今日が四月二十日ですか。前回更新したのが四月九日ですから、クリビツテンギョウ、イタオドロ的な・・気がつけばアータ、十日以上も無沙汰で。光陰矢のごとさい。いえね。決してサボってたんじゃないんですよ。酒の溺れて寝暮らしていたわけじゃあ・・いえ半分はそうなんですけど。半分はせっせと文字を打ち込んでいたのでありまして。
本来、この下に続く筈だった宮沢賢治の事について、延々せっせこ書いとったんですが、どーも気に入らんと。ずっと、あーだこーだいじくり回して、気がつけば七千八百六十九文字ですよ。しかも、それでまだ半分にも満たないしって、あまりにも長すぎだろうて書き上げてから後、植木屋のごとくばっさり切るとこは切ってってやらにゃ・・あかんではないか。と、そうなるてぇーと、あたしゃブログ更新は一体いつになる事やら、と気の遠くなる話しで。背中にいやな汗も浮かびます。
しゃーないから一旦書き上げて、賢治や銀河鉄道については、じっくり、こねくり回した後。また別の段取りで皆々様に披露しようじゃぁないかと、まま、脳内会議の上そう決まった故にあのよろし。
しっかし、これで書き上げたとうそぶいても、どーにも尻切れトンボだし、てワケでちょいと違ったアプローチで・・って以下。
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上に出ました細野春臣さんと言えば、日本の音楽シーンを影となり日向となり牽引し続けた大功労者でして、その功績の一旦をここに上げるなら
日本語ロックのオリジネーターとして活躍したはっぴいえんどのメンバーであり、今だ日本語ロックの史上に燦然と輝く名曲『風をあつめて』の作曲者でもあると。
これねこれ。
風をあつめて はっぴいえんど happyend Kaze Wo Atumete
余談ですが、時を経てニューヨークをぶらついていた細野御大が、通りすがりの米国オタクに声かけられて「なんですか?」と受け答えしたところ、そのオタクが『風をあつめて』を一節を
「街のはずれの背伸びした路地を、散歩してたらシミだらけの・・・」
なんて、唐突に歌いだしたから、かなりビックリした。三年しかやってなかったバンドの、大昔の過去が追いかけてきた気がした・・なんてことをどこかでおっしゃってらした。
そういえば、この曲はソフィア・コッポラさんの『ロスト・イン・トランスレーション』と言う映画に使われているんですよね。
Lost In Translation - Japanese Trailer
・・・この映画観てないんですよね。
いえね。だって・・・主演ビルマーレイでしょ。そいで音楽でケビンシールズ、はっぴいえんどて、もう好きだもん。ずるいよね。本編観てないけど予告編、観た段階でもう好きだから。仮にどんなに本編のストーリーがおたんこでも、いえ、仮に内容がエドウッドの『プラン9』であったとしても、 A.C スティーブン『死霊の盆踊り』であったとしても、好きな事には、変わりないから。分かってるから。
だから未だに観ていないって言う。
伝わらないか、この感じ。
閑話休題。
そいでから、素敵な傑作ソロや活動を経て、ご存知イエローマジックオーケストラ(YMO)と。
結成前、坂本龍一さんと高橋幸弘さんを家に呼びコタツに山盛りのみかんを囲みながら、細野さんがぶち上げたコンセプトが
「マーティンデーニーの『ファイアクラッカー』を、エレクトリックアレンジして世界で四百万枚売る」
と、いうものだったらしいです。
kyary pamyu pamyu - Ninjya Re Bang Bang × YMO - Firecracker (Mashup)
・・っと、間違えた。
これが
これへ
イエロー・マジック・オーケストラ - ファイアークラッカー (1978)
結果、テクノポップブームを起こし、音楽のみならずファッション、アートに至るまで幅広い影響力を持った、世界的に活躍するモンスターバンドになり、本人たちは物凄い大変だったそーですが(そりゃそーだ)、だからこそ、あの大変さを如実に表すYMOの屈折した音楽遍歴。アルバムごとに全く違った色を持って居りますゆえ・・・まあ、まったく。ファンてのは無責任なモンです。当人たちの苦労をよそに・・いえ、その苦労すらも餌に我欲を慰めようってんですから浅ましい。
「ドーモスミマセン」
って、細野さんはザ・マンザイで林家三平師匠のモノマネを披露してらっしゃったな。
まま、今回はこの辺までで。