読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

酒の井戸

アルコールの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

残暑に思う ② 昼

 鎮守の森は昼下がり。この夏の、終わりに敗戦徒党の残党兵のような。僅かばかりの蝉の音が聴こえて。数週間前ではウンザリこしたこの声が、今にして何故か、愛おしいような勿体ないような。蝉の命は一週間ばかりだという。もう少ししたらこの声は聞かれない。

 

 夏空なのか秋空なのか、季節の尺度と言って、果たして。今時分はどちらに組するものか。さてこそ切れ目のよくわからない曖昧な空。日中の光線は変わらぬ輝きを未だ保つのだが、十五時とも成るとそれも早々に陰り、夕方はもう肌寒さすらこの辺りでは感じる。早秋である。

 夏の短さに生の儚さを覚えたりとかなんとか。

 そんな愁傷な感慨も、やがてこれから本格的な秋、冬となれば簡単に忘れる。天体の運行。日光の栄え陰りと言って、終始陰ってばかりいる季節がまたやってくれば、儚さどころの話ではない。ただ身を切るような冷たさに、切実とわが身をいたわるのみとなる。

 

 故にこの時分は、一年の内で最も過ごしやすい季節ともいえる。

 

 平静は部屋に籠って昼寝の間に間に本を読むなんてのが日課であるが、折角だからと、近所のお宮へ出かけ、神前へ挨拶を済ませたのち、適当な場所を見繕ってビニールシートをひき、鞄を枕に寝転がって読書をするのが楽しい。無論、昼寝の間に間に・・である。

 

 夕刻ともなると自然肌寒くなるから、それが目覚ましとなり、不明瞭な寝ぼけ眼、鼻水をすすりながら身を起こし、近所のスパーへ酒と酒菜を買いに行くという塩梅。

 

 いよいよやがて秋深しともなれば、こういった遊びは到底、望むべくもない。高原のこの辺りは、だってすぐに寒くなるのだから。