酒の井戸

アルコールの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

今日の景色

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朝から降り続ける雪が午後十八時現在まだやむ事もなく。木々枝々に取り憑いた白が雪綿帽子が膨らみ、やがて数か月後咲く花を思わせますが、実際、背景の白と同じ調子に沈みその膨らみに艶やかさは感じません。風もなく、ただ空より下へ単調に落ちては宿り。その集積が今こうして見える冬景色となって、辺りに顕在するばかりです。

 国道を走る車も今日は少なく、たまに通る貨物をいっぱいに積んだ運送トラックの排気音も、この雪の宿りの中、そしてその集積に吸い込まれ音あせて、辺りは全体に静かです。

 僕は車を時速四十五キロで走らせて、次の一週間分の食材を買い出しに。スーパーの駐車場に停まる車はいつもより少なく、がらんどうの空き地を従業員がせっせとかいていました。半熟のように曖昧に溶けたアスファルトの水溜まりを踏みよけながら屋内へ入り、いつもと変わらない店内音楽を聞きながら、キャベツと白菜と。それから細々色々な物をかごいっぱいに詰め込んで、レジスターのおばちゃんの前へ差し出すと、果たして彼女はそれらの山をいとも容易く整理してのけたのでした。

 会計を済ませ、騒がしい店内音楽を後に開く自動ドアを一歩向こうへ踏み出せば、また世界はあの懐かしい静寂へ包まれます。僕は寒さによる苦痛よりも、この静けさのほうがよっぽどの安頼に感じて、ああとため息をついて、吐息を漏らしました。喫煙者の喫む煙草の煙のように、その白い白い息はやがて渦を描くように微かに分散しながら中空へ上り、降り続ける雪空の中へやがてだんだんと静かに浸み込んでいったのでした。