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酒の井戸

アルコールの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

重曹で豆腐をゆでると、魔法になる。お気に召すまま。

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  •   雪・・・。昨日の夕方から休みだってんで日本酒を三合ばかり舐めて、それで寝て。今朝方、やけに肌寒いってカーテンを開けると、露で曇って外が見えんでやんの。知ってるよ、どーせ雪でもしゃあしゃあと降ってやがんだろと、湯を沸かしてココアを飲んで。本を読んでたんで、しばらくするとまた眠気が。それで寝て、ぞろ起きたら本を読んで、また寝てと。そんなこんなでこんな時間。

 ・・・になりましたから、んじゃあ今日もそろそろ酒宴といきますかって、冷蔵庫を空けたらビールが無い。なーにやってるかな俺はと、舌打ちをしてしゃーあんめい、「ちょいと買いに行ってくらぁっ」て誰に断るでもないやもめ暮らしですが、まあ薄手のジャンパーに厚手のコートと重ねてマフラー巻いて、マシュマロマンみたいな格好でドアを開けようとしたらね、これが開かねえでやんの。張りっ付いて。三分ほど「あらいやだ、ちょいとお兄さん。カンベンしとくれよ」なんて押し引き問答を繰り返してたんですが。なんか馬鹿馬鹿しくなってやめて、それで昨日の残りの酒を舐めながら、本読んでた。

 

 んですが。

 

 ふと、

 

 「あれ?これ、明日仕事行こうにもおんも出れなくない?」

 

って、疑念が。しゃーねーなー。って立ち上がって、ドアノブをねじってオモイッキリ肩から。「えいや!」って押したら、普通にスカッと開くじゃない。フェイク、フェイント。いや、こちとらドアの凍結で阻まれると思っていた分力を加算したから。その足して押したエネルギーは、とーぜん外へ逃げますわな。それでつんのめって、トットットと。地面が凍ってますから足をとられてスッテンコロリン。盛大に尻餅をついて、見上げた空は、もう雪は上がって寒々と白い。中空に風が吹いていると見えて、わずかに揺れております。周りを見ると、まあ白い。

 

 ・・・湯豆腐でもつつくか。

 

 と、思って。

 

 部屋に入ってドアを閉める。冷蔵庫を開けて木綿豆腐があったんで、今土鍋で湯を沸かしているところです。

 

 木綿豆腐ってのはね、あたしはずっと倦厭してたんです。なんつうか、やっぱ絹ごしのあのつるっとした食感?あれが好きだし、奴によし、湯豆腐によしと。いっつもスーパーに行って絹ごしを買うとき、隣に並んだ木綿を見て、「こいつ、何のためにここに居るのかな?」とか思ってたんですが、最近になって木綿のおいしさを知りました。 湯豆腐にするときね重曹を入れるんです。ほんの一つまみほど。すると、豆腐がとろとろに程よく溶けるんですが、絹だとちょっと・・、はなっから大体つるんとしてますから、溶けても、まあ美味しゅうございますけど、まあ溶けたなって感じ。ところがあのね、木綿ってのはもともと硬い。はっきりしてますでしょ。芯があるというか。これ。横丁の隠居。頑固親父みたいなもんで、仲良くなると妙にニヒルな、苦虫噛んだような笑顔を見せてくれますでしょ?そんな感じで口に入れると。この、トロ→フワ→硬いってメタモルフォーゼした具合が、段階的に楽しめるという。一口で三度美味しい。

 

 

 しっかし、豆腐に重曹とは考えましたな。何でこういうことを考え付くんじゃろ・と思いますが、あたしにはこういった発想は出来ない。

 

 まあ、化け学に知識がある方なら、それほど難しい事ではないのかも知れませんが、暗いので。魔法のようにも思えます。

 答がわかっている訳ではないけど、そうなるやり方はわかっているのだ。例えば昔読んだアラビアンナイト。「あだぶかだぶら」と唱えると不思議な扉が開く。とかとそう大した違いは無い。

 

 長い長い千夜一夜の、ほんの一夜の夕飯ですが、

 

 

 

 料理ってのは、実にファンタジックだ。 

 

なんてことを思いながら、キッチンに立ってます。

 

 なんなんでしょうかな。

 

「フライパンは手に馴染むほうが良い。」

 

 日常に転がるファンタジー。それがクッキン。

 

 なんて。