コトバ 風物 ジッタイ

ゲンショウの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

晩秋から初冬へ移り変わる景色の写真

お題「わたしの宝物」

 

晩秋から初冬に撮った写真と雑感

 

積もった枯れ葉に霜が降りて冬の始まりを感じさせます。

霜の降りた枯れ葉



1

冬景色の中、枝に最後まで残った赤い葉っぱ

紅葉の残り




 朝起きると霜が降りていた。これで秋の終わり。

 

冬空の透き通った青空をバックに、枯れた畑のあぜ。錆て赤いトタン

冬空とトタン





 それが冬の始まり。鼻先が少し冷たい。しびれるようにヒリヒリする。こうやってだんだんと空気の線が細くなってゆく。そしてあと数日もすれば鼻先がしびれるじゃ済まなくなる。カミソリのように鋭くなるから。

 

 気まぐれな早起きで、カメラをぶら下げて近くの森をぶらついた。

 

 

朝日を逆光で撮った森の道です。ゴーストとフレアで幻想的な写真に。

森道 散歩道



  

透明感のある青空をバックに枯れ草が花束のよう。玉ぼけがきれいです

枯れた草木



 

 東からさす木漏れ日。枝からを縫って漏れる光が細く鋭い。

・・鋭くって・・それでか地面に浮かぶ陰は深い。

 

・・浮かぶ??

・・沈むかも??

 

こうなると言語表現として、何が適切なのかよく得わからんくなる。光線の強弱によって陰はまるで浮かんだかのようにそこに現れるが、その存在自体は闇であり沈んでゆく。

 

 ・・朝日なのに沈むとは、これいかに?

 

 いや、それが、それこそが冬の始まりである。

 

 光線とその深さを物語るところの陰・闇・・・ それは、まるで透き通ったガラス板に刃先鋭い彫刻刀をもってスッと削り込んだかのような輪郭で。

 

透明感のある朝空を背景に一本の枝が揺れています

朝日に揺れて



 

 2

 

落ち葉の積もった森の道をローアングルで撮りました。冬らしい透き通った透明感のある朝の道です

冬の始まりの道。散策



 

 吐き出す息の白さを愛でながら、森の中を散策した。羽織っているのは米軍の払い下げ品。M65。深緑系のカーキ色のコート。襟を立てる。北風が冷たい。分けて入る枯れ葉、枯れ枝。踏むたびに足に乾いた感触が伝わって、耳に枯れ枝や枯れ葉の砕ける音が聞こえた。

道ばたに雑多と積もる枯れ葉枯れ枝に落ちた霜に朝日が照って繊細に光っています。

朝に降りた霜



朝日を受けて霜の降りた草木が綺麗に輝いています

霜の降りた朝➁






 枯れ枝枯れ葉、地面に落ちて積もるそれらを枯れ色・・と十把一絡げに片付けてしまえば平静踏みにじるだけの邪魔な落ち葉に過ぎないが、こうしてみると落ち葉は落ち葉でなかなかに表情をかえる。霜の降りた枯れ葉なぞは、なかなかに雄弁なアクターだ。枯れ色に身を染めた老婆のようで、見方によっては宝石をまとった女優のような表情を見せる。また、角度によっては全く逆の演技に騙されてしまうファインダー越しの僕だったりもする。

 

夜明け前のわずかな光を受けて、冬の枯れ枝が瞬いています

夜明け前