酒の井戸

アルコールの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

夏休みと洒落っ混んで甥と出かけた

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 1

 

 仕事や雑用に追われて、何もしないことをすることが出来ない。休みだと言ってあれこれ動くのはばかばかしいと、心底思う。本当だったら、休みの日くらいここぞと時間を無駄に贅沢に使いたい・・例えば一日中大昔にクリアしたドラクエ3を引っ張り出してきてレベル上げをするとか、読みかけの本を昼寝のまにまに片づけるだとか、いっそ、「何をしていた」なんて「事」が記憶に残らないくらいのんべんだらりと、時間を無為無駄に使いたいものだが・・

 

「おう、昨日の休みはなにしてた?」

 

「いえ、昨日は、なんでしたっけね?・・昨日、昨日・・はて昨日なんて、果たして有ったのでしょうか?」

 

 なんて、くらいが理想なのに。

 

 ・・・。

 

 しかし、様々な煩い事。用事に追われて、それがなかなか成らない。ああ、次の休みは平日なので役所へ行かなければ――なんか面倒くさい書類の申請があるらしい。それから銀行へ・・とか、仕事の最中も、次の休みにはあれとこれを片付けようとか、考えている始末。仕事に集中せい。仕事に。

 

 

 そもそも、僕は予定というものが嫌いだ。毎日毎日、仕事でこの「予定」ってやつにさんざん振り回されてゼイゼイ言ってるのだから、せめて休日くらいは、このしちめんどうな「予定」から解放されたいと、思う。

 

 だから、映画は好きだけど、映画館には行かない。音楽も好きだけど、ライブもほとんど行ったことない。ヨテーをたてたくないからだ。休みの日まで何時何分キッカリにどこそこに行かねばならないなんて、強制されるのは実に損しているような気分になる。にもかかわらず、ここんとこ休日はすべてヨテーで埋まってしまった。

 

 2

 

 とかなんとか。書き散らかしたまま二か月ほど放置した文章が上です。一か月に数回しかブログを更新しない僕ですが、パソコンは常に起動しっぱなしになっていて、それでワードには書きかけの文章がいつも二十くらい溜まってます。文章はいつも仕事の後、酒を飲み飲み書いているので、翌日素面で読み返してみて、ギョッとするようなアバンギャルドな、文体実験のような暴力的な作業の残骸を目にすることも多々あるのですが、大抵は、昨日書こうと思ったことの続きが、皆目見当もつかんと・・そんな状態になったまま、臭いものには蓋式に見ないことにされているものが多いです。そんなわけで、上のは久方ぶりに掘り返した、そんな思考の欠片です。

 

 3

 

 と、断りを入れて・・・。

 

  先日、甥を連れて県立科学館なるところに、出かけてまいりました。上に散々、予定が嫌だと愚痴を書き散らかした僕ですが、現金なもので、甥との出掛けを発案したのも僕、予定を立てたのも僕でした。

 

  朝七時四十五分発の電車に乗り、バスに乗り継いで開館時間九時半の目的地へ行くなんて算段を立てようってなものは・・あたしゃ恋人に頼まれても(いたら)、「いやだね」って断りそうなものだが、まあ、なんと申し上げますか、「オジバカ」とでも言いましょうか、、まあまったく苦にならず、自分で自分に驚いたくらいです。

 

 しかし、なんですかな。子供ってのは、こらえ性がありませんな。バスを待つたかだか十数分の時間、開館時間を待つ五分少々のと、そのつど「まだかな、まだかな」と、この叔父にせがむのであります。しかしそれがまた、可愛いもので。・・と、そんな話を母親(おばーちゃん)にしたところ、「あんたも、あのくらいの頃は、そうだったよ」と、一言。そうでしたけ?都合の悪いことは早々に忘れる主義です。

 

  科学館は、かなり充実しておりまして、大人においても童心に還れると申しましょうか、いわゆるデンジロウ先生的な・・超巨大なシャボン玉を作成して、中に入ったり、アナログシンセのような機械をいじって鳴る音の高低を変えることによって、そこから発生する音波振動の働きで、水槽の波の波形がいろいろ変わるなんて、ワクワクの科学実験が楽しめる場所なのですが、齢四つになる甥にはまだ早すぎたか、いまいち趣旨を理解していない様子も多々あり、ぽかーんとしている場面も・・・少し早すぎたかな?と思いながら一通り遊んで帰ろうとすると「まだいたい!!」と、一言。

 

 

 あ、なんだかんだ、楽しんでくれたか?と、ほっとしながら「でも、帰りの電車もあるからね」と、後ろ髪引かれる思いで、連れて帰り翌日。

 

 「昨日は楽しかった?」

 

 「楽しかったー」

 

 「また行きたい?」

 

 「行きたい―。・・でも」

 

 「でも?」

 

 「今度は滑り台にのりたーい」

 

 うーむ。やっぱり、まったく趣旨を理解していない。遊戯公園と勘違いしている。

 

 

 4

 

 でも、まあこういうのは、切っ掛けですから。子供ってのは色々なものに触れたほうが良いのですよ。そこで何かを・・何かしらパズルのピースのようにピタッとハマるものが見つかったときとなりゃ、その衝撃は・・それは一生もんですからね。

 

 ・・僕にもそういう記憶があります。

  

 ちょうど五つの頃だっかしら。小学校に上がった姉のお祝いに、祖父祖母がマンガ日本の歴史の全集一揃えを我が家に贈ってくれたのでした。小1にマンガ日本の歴史はずいぶん気の早い話だ・・と今にしたら思います。現に肝心の姉はまったく興味を示さなかったのですが、何気なくページを捲った僕は、ツワモノどもが入り乱れる合戦描写に「なんてカッコいいのだろう!!」と、いっぺんに心を奪われ、虜になり・・それは忘れもしない平将門公が、御自らを新皇と称し関東独立を大和へ堂々宣言し挙兵しながら、朝廷側の弓に倒れた俗に平将門の乱と称される一幕なのでした。最初は内容も解せず、ただただ武者絵のカッコよさにハマっていたのですが、やがて程なく、その内容に興味を抱き「歴史」に憑りつかれ、「物語」に憑りつかれ、そして総体「知る」という行為自体にやがてどっぷりと憑りつかれ、そして今に居たり、結果結婚もせず我自室は本の雪崩でもはや沈没。足の踏み場もない・・だけならまだしも、我部屋から漏れ出でた数々の書籍雑書の類が我が家のそこいらに散乱し、最早親兄弟家族皆が、諦めのため息とともに、白い目で掃き掃除を始めるという始末で・・いやまったく、知るって行為は実に業が深いもんだって知りながらも、あたしは甥を知のいばら道へ誘おうって・・そんな罪深い叔父です。