週末、昨日一昨日と二日仕事を休んで、そいでまた今日から五日間と。六時前には支度を整えて、表へ出るのですけど、今朝ふと、いくばかか空の色がいつもより浅い事に気がついた。日の出が早くなっているので。群青色に染まった世界は、それでもまだ薄ら暗く、風も冷たいけれど。それでも季節は確かに移ろい変転し、春の匂いがそよぐ日もそう遠くないようで。なんて、そんな事を考えながら出勤し、休憩時間にいつも拝読しているブログをいくつか読んでいたら、素敵な梅の花が上がっておりました。
大阪ではもう梅が咲いたのですね。あたしんところはまだまだ、蕾も膨らまないけれど。よおし今日はこの梅の写真をアテに、一足早い梅見と洒落込んで、熱燗呑んでヨヨイノヨイだ・・なんて、そう決めますとその後は気もそぞろ。幸い仕事もあまり有りませんでしたので、良い時分にしゃんしゃんと手を打って、「じゃあ、今日は早く帰っから」なんて、同僚の湿った目を後ろに回しウキウキと家路に着いたのでした。
「梅の蕾の ほころび目から 出たか昨夜の 粋な夢」
なんて都都逸が御座いますが。あたしの夢思う春とやらも、そう遠からじ。もう、まもなくで御座いましょう。
では、前回の続きから。
「えー前回は皆さんに、殿様ってのは三種類有るよー。って、そんな事を勉強してもらったと思うんだけど・・えーと、じゃあ覚えてるかなぁ?K君、殿様ってのはなんだっけ?そう、将軍大名旗本。・・正解」
って、なんなんだ。
いえ、なんかイメージにある予備校の講師口調で今回書いてみようかなと、なんかふとそんな事思って・・わずか二行で挫折したって、それだけの事なんですけどね。
んで、あたしはこの『ねぎまの殿様』における殿様とは、将軍大名旗本の旗本だろうと、そう思う次第であります故、前回将軍大名の項はかなりいい加減にはしょって、旗本あたりを詳しく書こうと思ったら、なんか少し話がずれたと。まあ、このブログは歴史ブログとか、時代考証ブログとかじゃあ御座いませんから。酔っ払いがなんかつらつらとエラソーに薀蓄を語るなんてのは、何処の酒の席でもよく見られる光景で。まあそれの活字版って程度のものですから、まあ、皆々様もあまり肩肘張らずに・・ってそんな人はいないか。
ここのところ、ねぎまの殿様の筋から離れておりましたが、以下から話しは本筋に戻ります。
さあ、上野の煮売り酒屋でにゃあ、つまりねぎまをつつき酒を飲んで上機嫌に帰ったお殿様は、三太夫さんの「殿、どうぞこの事は御内密に・・・」と言う言葉を守り、誰にも言わなかったが心内では、「ああ、にゃあにゃあにゃあ」とにゃあのことが忘れられません。
何とかしてあの珍味なるにゃあをもう一度・・と、思っておりました。
当時の旗本、殿様の食事は大体一汁二菜と決まっていたそうですが、そのうちに一品殿様の食べたいものを希望できた。
ある日のこと。
昼過ぎに料理番が殿様のご希望を聞きにやってきた。折りしも先達てのような雪積もる日で、殿様はその雪を遠い目でぽわーんと眺めてらっしゃった。
「恐れながら、昼の好みを伺いとうございます」
「・・にゃあ」
「??・・っは?」
「・・にゃあである。本日余の好みはにゃあである。持ってまえれ!!」
「は、っはー」
それで下がった料理番。まさか殿様に「え、にゃあってなんですか?」なんて、聞けやしませんから、裏で困った困ったとニャアニャアニャアニャア言っている。料理番ってのは、要するに料理方、料理をする者たちのトップで御座いますから、部下の料理人を集めて「にゃあとは何か?知るものはおらぬか?答い」と、号令をかけますが。・・誰も知らない。
だって、そりゃそうですよ。にゃあなんて料理はもともと無いんですから。殿様が間違って覚えてきてし合ったんですから。
ああ、料理番。もうこうなると切腹しかありませんな。だって殿様の所望する料理が出せないんですから。現代とは違います。「わかりません」じゃすみませんよ。
さあ、料理番の切腹までのカウントを、皆々様で数えましょうと、この辺で酒量が良い塩梅ですので、また次回であります。
次回は
『摩訶不思議ファンタジー。三太夫、言う』
です。
どうぞお見逃しなく