コトバ 風物 ジッタイ

ゲンショウの海に溺れながら考える世界のいろいろな出来事。または箱庭的な自分のこと。

『ねぎまの殿様』 面白い落語百選 その①

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 小学校の時分、図書室の奥に埃かむった『少年少女落語全集』なるシリーズを、発見したときの興奮といったら。それはそれは。いや実際、一も二もなく借りて帰って、夢中になって読んだのを覚えとります。

 そしてそれから程なく、その年のお年玉を全てはたいて全巻購入して。ええ、いまだに愛読書でして。一冊もかけることなく、僕の本棚の真ん中に、どっかり胡坐を書いておりますが。

 

 ・・・よく三つ子の魂百までなんて申しますが、親の落語好きが高じて、いろはを教わるより早く散々カセットテープで心ん生だの園生を聞かされて育った次第。

 

 このシリーズの素晴らしい所は、所謂江戸弁、江戸口調の、つまり噺家さんがあたかもそうやって演じている様な話し言葉で書かれていて、臨場感があるんですよね。

 

 これがなかなかない。

 

 大人になってから、落語の名作選みたいな本もいくつか手にしましたが、これがね、案外普通の文章なんですよ。読み物としての文章というか。これじゃ駄目じゃん春風亭というか。

 

 よせれない。

 

 この、『少年少女落語全集』にある江戸口っ調の文体は、言ってみりゃ子供向けで大味で稚拙な感じですが、これが良いんですよね。

 例えば漫画という媒体において絵は、絵画としてみれば簡略化されて、結構稚拙なのかも知れない。が、だから故に記号として成り立っている。故に・・・手塚という人は本当は絵がすごい上手い人だったと思いますけど、結構簡略的な記号的な絵を描いた。これはつまり、簡略化された、ステレオタイプの、人体のイメージを書いたほうが、受け手が自分のイメージに脳内で勝手に変換するってモンで、登場人物に心情を寄せやすい。感情移入しやすいだろう。と、言うことだと思います。

 要するに、人間の脳というのは、対象がすかすかの場合は、結構そのすかすかの穴を埋めて自分で補完する。癖がついてるんですよね。そういうふうに、なっとる。

 

 それで、話しを戻しますが、この少年少女落語全集における非常にステレオタイプで、稚拙ともいえる江戸口調の文体は、つまり過去現在の名人といえる噺家さんの芸に、漫画式脳内補完でもってイメージとして近づける、よせる事が出来るというメリットがある。

 これがこの本の、最大の素晴らしいところだと、アタシはおもっちょるわけなんです。って、一人称がころころ変わるな。まーよか。

 

 と、んで、まあ、すんな感じにスンバら式に出来上がった『少年少女日本名作落全集』なんですが。ええ、結構駄目な話もあります。ありますな。なんであろうかなー。と、思うのですが。

 

えーと

 

ちょっと、面倒な話しを。

 

 江戸時代、庶民の娯楽として隆盛を誇った『寄席』において、噺家、落語家ってのはいわば花形スターだったわけですな。が、しかし、明治維新、文明開化と時代がガラッと変わりまして、寄席にも新しい芸で売り出すものが幾人も現れてくる。噺家って者が時代遅れになりかけた時期が、あったんです。それで噺家のほうとしても、これじゃいけねえ、明日のおまんま食い上げだってんで、イマドキの、、当時の話ですよ、当時なりにイマドキの、ナウいヤングにバカウケのおもろな落語を作っちゃろうと、はりきって作ったのですが、まあ、正直言ってあまり出来がよろしく無かったんで。ええ、子供ながらにあんまり・・いまいちだなと思ったんですが、どんな芸にも過度期ってものがありますから、、、大人になった今読み返すと、また別の味わいを覚えますけど、しかしやっぱり出来としては、江戸文化を題材にした作品のほうが、数枚良い物が多い。

 

 まあ、この辺の事情は古谷三敏さんの『寄席芸人列伝』という漫画に詳しい。

 

 おすすめです。

   

 

と、 閑話休題

 

それで、

 

 じゃあさ、そんな風に偉っそうにやーやー言うとるけどアンタは、じゃあ、何が良いわけ?ってな話に当然なるんでありますが。まあ、餓鬼の時分の話になりますからな。性欲睡眠欲よりまず食欲って話になるんですな。ほっときゃあ始終空っ風のようにそこら中を飛び回ってるわけですから、なにせカロリー消費がすごいっのてなもんやの三度傘。腹を減らして。

 

・・・・・・・・飢えとるわけです。

 

  だから、本を読んでいても自然、興味はそちらへ。例えばミヒャエルエンデの『モモ』って作品は、社会への批評性に富んだ素晴らしい作品ですが、あたしときたら内容なんざそっちのけで、まあずいぶんと旨そうな食べ物が並ぶもんだと感心したくらいで・・・・。すぐ話しがぶれるな。

 えーと。だから、この『少年少女落語全集』に関しても、その例に漏れず飯系の話しが好きだったってなもんやのご主人てなもんで。よろしいか。

   

 『ねぎまの殿様』という噺がありました。

 

 主人公が殿様で、まあ現代で言えば能天気で世間知らずだけれど人の良いおぼっちゃまって感じの人ですな。

この人が、雪が降ったんで家臣の三太夫を従え雪見、雪駆けにちょいと上野までと洒落込んで、途中で寄った煮売り酒屋で食べたのが・・・・。

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*2

  

 と、ここから『ねぎまの殿様』のあらすじ紹介、ねぎまの説明、んじゃあそのねぎまってモンを一つ作ってみようじゃぁねえかって、落語ブログ、歴史ブログ、料理ブログとジャンルを超えた壮大なブログイリュージョン、スペクタルが展開されるわけなんですが、小生ちょいと、酒が過ぎました。足元がおぼつかねえ。いや、文字がおぼつかねえ。自分が今、何を書いているのか、よーわからん。全然だめなので、まあその辺はまた後日という事で、本日は、このあたりを塩梅に、ちょいとドロン。幕引きとさせていただきます。

*1:ここに脚注を書きます

*2:煮売り酒屋。

お酒と容器の歴史講座より引用。

縄文時代から平成までの、この国の酒文化の変遷をとても分かりやすく解説してらっしゃいます。